AE92 の ストップランプ ユニット もそうですが,元々 LED 用に作られていない ユニット に,最近の車に使われている LED をそのまま利用してもあまり明るくなりません.
LED 用の ストップランプ は,ユニット 表面 ( アクリル 製の カバー:透明の物も多い ) の光の透過率がよく,直接 LED の光が見えるようになっていますが,ランプ 用の物は,ユニット 内の反射板と併せて,赤い アクリル の カバー で拡散するように出来ているので,カバー が分厚く,色が濃いこともあり,光の透過率があまり良くないからです.拡散光の少ない LED では部分的に明るい点が出来るような光り方になってしまいます.
一度 0.5W の FluxLED 12 個を使って全体的に拡散するようにして試してみましたが,純正の 21W ランプ より少し暗い感じでした.フロント ウインカー はこの方法で作ってありますが,こちらは ストップランプ に比べて光る面積が小さい為,上手くいきました.
ストップランプ でも,もう少し LED の数を増やせば上手くいくかもしれませんが,FluxLED を点光源に見えるように立体的に並べるのは手間がかかるし,あまり数を増やすと点光源に見えなくなってきます.
LED を平面的に敷き詰めるのも一つの手ですが,点光源用の デザイン で作られている ランプユニット 内に,平面的に並べた LED を光らせてもデザイン的にイマイチなので,もう少し明るい パワー LED を使うことにしました.
パワー LED も効率がずいぶん良くなってきましたが,使用にあたっては冷却が必要になります.特に ストップランプ の場合,フロント 周りと違い空気の流れがほとんど無いだけでなく,荷物を積む関係上,マットで被われています.このような場所で,ヒートシンク を付けても冷却はあまり期待出来ません.ウインカー のように一時的に点灯するだけの物なら,大きな ブロック 状の金属を熱浴として利用することも可能ですが,テールランプ と一体化した ストップランプ では,徐々に熱がこもること予想できます.
今回作った ストップランプ の冷却方法は十分に大きな熱浴と熱接触を取るという方法です.使用した熱浴は車の ボディー そのものです.特に ボディー 下部,直射日光の影響を受けにくい部分と熱接触を取るようにしました.
熱接触のために使用したのは写真のような網線です.2 mm 厚の銅板の表に LED を取り付け,裏側に網線をハンダ付けしてあります.テールランプ ユニット とボディーを ブチルゴム で防水する古い タイプ の車種なら問題ありません.テールランプ ユニット が取り外せる最近の車では,防水が出来ないのでこの方法は使えません.
使用した LED は シチズン の CL-L102-C7N-A ( 白色:7 W ) です.白色光のため,そのまま使うと少し ストップランプ の赤い色が薄くなったような光り方だったため,発光部分をランプ用の「染めQ」で赤く塗りました.発光部分が横長ですが,トレノのストップランプは楕円形のデザインになっている為,写真のように違和感なく光りました.真夏の炎天下での使用を考慮して発熱量を抑える為に,電流量を 0.55 A 程度に抑えましたが,純正の 21W より明るいです.
効率の良い LED がどんどん開発されているので,切れて交換する時には別の LED を使うだろうし,実用上シビアに電流制限をする意味もないので,定電流源は使っていません.抵抗で電流量を制限しているだけです.
使用した LED は Vf=11V 程度なので抵抗での発熱はさほど大きくはないですが,炎天下での使用を考慮してストップランプ用の抵抗には 3W の物を使用しています.最近は 3W でも小型の物が出回っているので実装が簡単です.それに安い.20 ~ 30 円です.また,使用している青と白の配線は耐熱性の良い テフロン 被覆のものです.
バッテリー だけの 12V の時と,エンジン 動作中の 14V 程度の場合では,発熱量がかなり違ってきます.また,外気温によっても冷却の効率は大きく変わります.抵抗の選定にあたっては,十分な安全率を見込んでください.
設置状態の写真で,熱接触用の銅線についている四角い銅板は,ランプユニット 取り外し時に切り離せるようにするためのものです.また,思ったより上手くいった為,バックランプ を増設できるようにしてあります.