メンテナンス 電気関係 

古い車では電気配線の被覆が硬化したり,振動で断線することがあります.
電気関係はかなり手を加えている為,ほとんどの配線を見ましたが,AE92 の場合,劣化する部分はかなり限定的なようです.通常あまり見る機会がないエンジンルームやダッシュボード周りにある,たくさん束ねられた配線部分は 20 年を過ぎてもあまり問題ないようでした.

劣化する部分とその対処方法は

  • 被覆の硬化 雨や熱にさらされた配線
    → こういった部分の配線は,配線の束から分岐した先の部分なので,比較的交換が簡単です.劣化した配線を切り取り,新しい配線をハンダ付けや圧着で継ぎ足します.接続部分は熱収縮チューブでカバーします.
    雨にさらされる部分をコルゲートチューブやPVCチューブで保護する場合は,水が内部にたまらないように上側をビニールテープで防水し,下側は開けておきます.擦れる心配があまりない配線の場合は,スパイラルチューブの方が良いです.
    熱にさらされる部分の配線は適切な耐熱温度の物を使用して,必要に応じて断熱保護材でカバーします.
  • 断線 コネクタや圧着端子の付け根部分
    → 配線の端なので,アクセスは簡単ですが,コネクタの端子付け根側に配線が残っていない場合が多いです.この場合,直接端子にハンダ付けして,配線を延ばします.端子の付け根部分に負荷がかかるようなら,熱収縮チューブでカバーして補強します.
  • 分岐での接触不良,断線 雨にさらされた分岐部分
    → 束ねられた配線内にある分岐部分は,雨に濡れないし,振動負荷も少ないので,トラブルの原因にはあまりなりませんが,雨にさらされたり,振動する部分にある分岐の圧着部分は断線しやすいです.
    分岐部分が雨で濡れる場合は,毛細管現象で配線内部まで錆びていることが多いでので,少しずつ配線を切って錆がないところで新しい配線とつなぎます.つないだ部分は防水熱収縮チューブでカバーします.

といったところです.

AE92 の場合で,上の対処方法以外を用いた方が良いのは,バッテリーからキーシリンダーを経て,スターター(セル モーター)のマグネットクラッチにいく配線です.
常にエンジンルーム内の熱にさらされていることと,比較的流れる電流量が大きい為,圧着端子やコネクタ部分での酸化による抵抗増加によってスターターが回りづらくなってきます.
この配線は

  •  配線が太く,扱いづらい.
  •  切って圧着で接続をすると,後々劣化による抵抗が増加する箇所を増やすことになる.(← 電流量の大きな場所はハンダで付けではなく圧着を用います.圧着の方が抵抗値が低いからですが,振動や酸化等による劣化で,抵抗値は徐々に増えていきます.
    この配線には途中で何カ所か分岐の圧着部分がありますが,配線を継ぎ足した支線側ではなく,バッテリーからキーシリンダーまで本線側で,1 本の配線になっています.(← 正確には室内に入ったところと,キーシリンダーのところにコネクタがあるので, 3 本に分かれています.)
  •  スターター側,室内側の圧着端子やコネクタもアクセスしづらい.

ので,手間を掛けて配線の修理をしなくても,よく知られたリレーを用いたマグネットクラッチの駆動に変更した方が簡単だし,後々トラブルになりません.(← 多少抵抗値が増加してマグネットクラッチが駆動しづらくなってきた配線でも,12 V のリレーくらいは問題なく駆動できます.)



ヒューズ

過負荷や想定範囲内の短絡など,通常の使用でヒューズが切れた場合,ヒューズはその真ん中で切れます.これはヒューズ両側の配線に熱が逃げる為,中央部分の温度が一番高くなるからです.
違う場所で切れている場合は,よほどの過大電流が流れたか,製造不良のどちらかです.

一度,製品に付属していたヒューズにクラックが入っていて,接触不良を起こしていたことがありました.不可解な動作不良があった場合は,チェックしてみてください.


オーディオ用として,音が良くなるとか,スポーツ走行用にレスポンスが良くなるといったヒューズがありますが,ヒューズは定格以上の電流が流れた時に,抵抗による発熱で回路を切断するだけの物で,ヒューズ自体が電子の流れを改善するように作用することはありません.
高機能なヒューズがあるとすれば,ヒューズでの電圧降下が一般的な物より小さいが,材質や形状を吟味して,ヒューズとしての機能と両立させた物です.


メーカーによっては,取り付け方向があるので,専門店での施工を勧める物もありますが,ヒューズ自体に取り付け方向を表示すること無く,こういった説明をしていること自体,メーカー側の”逃げ”に他なりません.

原子配列云々と説明しているものもありますが,車のヒューズは圧延した薄板から切り抜いて作る為,切り抜く場所によって圧延時の原子配列方向が異なるし,焼き鈍しをしても結晶構造はある一定の範囲内でしか揃いません(結晶粒界とかグレインと言います).もし,ヒューズの形状に合った原子配列の部分だけを利用したとしたら,ヒューズに方向性を明示することが出来るかもしれませんが,歩留まりが悪く,ヒューズに見合わない価格になるでしょう.

ヒューズ自体の抵抗値は一般的な物でも,微々たる物です.ヒューズに必要以上のお金を掛けるよりは,内部抵抗の小さなバッテリーや,オーディオ用に 15 V位の電圧が出るレギュレーターを買った方が遙かに効果があります.もちろん,クラックが入っているような粗悪なヒューズは論外ですが....



エレクトロタップ

後付け電気パーツを取り付ける為に,よく使われますが,数年使用すると接触不良を起こすことがあります.動作不良が起こった時に,原因がなかなかつかめない大きな要因です.使わない方が良いです.

純正オプション等でエレクトロタップを利用している物もありますが,そのエレクトロタップは通常売られている物とは違い,配線と接触する勘合部分が 2 カ所ある特殊な物です.前後の配線を固定するプラスチックの部分も通常より長くなっていて,一般的な物よりは信頼性があるようです.しかし,こういった物でも 3 〜 4 年で接触不良を起こしたので,結局全てハンダ付けに直しました.



← あくまで AE92 の場合です.製造年代によって部品の耐久性には差があるようです.新しい車でもコスト削減で耐久性のあまり良くない車種もあります.
バブル期に作られた 92 は全体的に良い部品を使っているようです.








← 車で使用されているコネクタは,通常手に入らないので,予備のハーネスを持っていると役に立ちます.



← いつまで切っても錆がある場合は,作業しやすい場所までにして,銅線の錆を紙ヤスリで落としてハンダ付けします.
ハンダが流れにくい場合は,ハンダを盛ってこするようにします.溶けた状態で動かしたハンダ(光沢の無いハンダ)は強度がないので,一旦取り除いてから,再度ハンダ付けします.
熱を加える時間が長いと,ビニールの被覆が溶けてビロビロになります.配線を継ぎ足す前にあらかじめ,長めに熱収縮チューブを通しておきます.






← バッテリーからキーシリンダーを経ての配線でリレーを駆動し,バッテリーからこのリレーを通して直接マグネットクラッチを駆動します.






















← 特殊用途向けに非常に凝った焼き鈍しをすると,1 cm くらいの厚さの銅板でも簡単に指先で曲げられますが,そんな条件ではヒューズとして機能しないでしょう.


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